マネジメントの役割を持っているとたまに"あ、線を引かれたな"と思うときがある。
どういうことかというと、"これ以上のことは私の仕事ではありません。"というのを暗に示されることがある。ストレートに表現すれば、"あなた、もしくは他の誰かが解決すべき問題であって、私が解決すべきことではありません。"と言われているような感じだ。
各々が役割や専門性がある中で、当人がその責任を果たしていない場合に"あなたが解決すべき問題だ"と伝えることは正しい。一方で、人の役割や責任範囲というのは必ずしもきれいに分かれているわけではなく、重なる部分や逆に空いてしまう部分がある。
そういう状況の中で、"これは私の仕事ではありません"と示されてしまうのは少々残念に思う。こちらとしては一緒に事業課題に向き合って欲しいので、場合によっては少々役割から外れるようなことでも協力してほしいのだ。
各々がそのような働き方をすることで、より円滑にプロダクト開発が行なえると考えている。
クックパッドのエンジニアリングマニフェストでBeyond the Boundariesというものがある。
私たちは「毎日の料理を楽しみにする」というとてもとても難易度の高い課題に挑んでいます。このミッションの達成に近づくためには少しでも多くの改善のサイクルを回していかなければなりません。また、新しい事業を起こし、成功させるには、今ある仕事の中で責任範囲を決めていては成立しません。
自律した個が自ら考え、自ら動く。そして、適切に協調する。責任範囲を狭く捉えず、事業で起こっている様々なことを自分ごととする。そういった強い個が協調しあう、掛け算の組織を目指したいと考えています。そのうえで、邪魔なものがあります。ここではそれを「境界 (boundaries) 」と呼んでいます。
- 出典
クックパッドはこのBeyond the Boundariesを体現している人が多かったし受け入れている人が多かった。クックパッドは事業がお世辞にもうまくいっているとは言えない状況なのであまり説得力がないかもしれないが、この考え方は今でも賛同している。