プログラマーのジレンマ 夢と現実の狭間

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伊豆原 弓

日経BP社 2009-05-21
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読み終わってから結構日が立ってしまったが、なかなかよい本だと思ったので紹介しておく。

本書は、「Chandler」というOSSプロジェクトを1人のジャーナリストが3年間に渡って追い続けたドキュメンタリーだ。Chandlerプロジェクトは、優秀なメンバー(名前や、名前がわからなくとも参加したプロジェクト、製品なら大抵の人が知ってるであろう人々)、潤沢な資金、OSSの為リリース日を自分達で調整できるなど開発者からしたら理想とも言える環境で開発が進められた。しかし、結果としてプロジェクトは迷走に迷走を重ね、本書の中でバージョン1.0がリリースされることはなかった。

正直、あまりにプロジェクトが進まないので中盤あたりから少しうんざりしていた。本書中盤でまともな製品が出来ておらず、リリースも遅れに遅れて、「おい、おまえらいい加減にしろよ」と少なからず思った。その停滞感が文章でもきっちり表現されていてなかなかツラかった。

それでも、私はこの本をおすすめする。プロジェクトの失敗した話というのはあまりプロジェクト外に出ることは少ない。出たとしても局所的な失敗談や、技術的な話題が多いように思う。そうした点でこの本はプロジェクトのほとんどを曝けだしている。さらにその時、彼ら(彼女ら)がなにを考えなにをしようとしたのかが読める本書は、 色々と考えさせられる部分が多い。明確な答えを得られるような本ではないが、ソフトウェア開発について考えるきっかけとしてはかなり良い本だ。

ソフトウェアは難しい         - ドナルド・クヌース 「The Art of Computer Programming」

本書の冒頭でも引用されているが、Chandlerプロジェクトの失敗の数々はこの一言に集約される気がする。少々身も蓋もないかもしれないが。個人的には開発者だけでなく、開発者達の上に立つ上司や経営者にも本書を読んでほしい。「ソフトウェアは難しい」ということが少しはわかるだろう。

ところで、このChandler プロジェクトが現在も開発が続いてるようで無事バージョン1.0が公開されたようだ。残念ながら私のSnow Leopardでは動作させることが出来なかったので試せなかったのだが、もし興味がある人は以下のURLが参考になるだろう。

Chandler Project MOONGIFT: » ようやく出てきたカレンダーアプリケーション「Chandler」:オープンソースを毎日紹介 GTD を意識したカレンダー・タスク管理アプリ:Chandler | Lifehacking.jp